第36回青梅マラソン 下位走録(UPDATE:2002/7/3)
まあ物には話の順序があるので、まだお読みでない方は31回からお読み下さい。
●完走への道
◇大東京の走り初め
正月3日、オフィスのある飯田橋まで走り初めをした。
ここ武蔵野から飯田橋までは約20km、吉祥寺〜高井戸〜高円寺〜中野〜新宿〜市ヶ谷〜飯田橋と交通量の少ない正月の東京を走りまくる。
空気が澄み渡り、大海原のような青空が広がる。そう、東京という街が1年の垢を流してひとっ風呂浴びたような、そんな感じだ。
◇24h−23h=2h?
あと2ヶ月半で、30kmを2時間30分で走れる体にせにゃあならんが、とにかく練習時間が足りない。
皇居のジョギングと土日の長距離くらいじゃあとてもじゃないが追いつかない。通勤と仕事と睡眠と家事で23時間は使ってしまう。
僕は親父には珍しく、朝食を作って、子供たちを学校に送り出してからオフィスへ向かうのが日課だ。
やはり通勤時間を練習に当てることで2時間を確保するしかない。仕事を終えてから、走って帰ってくる以外に体を作る方法はないという結論に達する。
◇ナイトランナー
東京の冬の夜は結構寒い。
オフィスを出る時は気合を入れないとくじけてしまいそうになる。
黄色いデイパックを背負い、ポケットに携行食を忍ばせ、凍てつく夜の東京を駆け抜ける。
新宿はもっとも走りづらいが、飽きないコースでもある。
僕が遅いのがいけないのかもしれないが、ティッシュを配るお姉さんよ!僕はランナーなんだよ、歩行者じゃないんだ。
でも、寒くて鼻水出てるからティッシュ出すのかしら?
◇ハッピーバースデー
思えば、初めての青梅マラソンはカミさんの誕生日の前日だった。
ときは巡り、今年は大会当日となった。
思えば、来年で7年目。ちょっと前まで、家族とともにする時間が削られるため、休日の練習の時間さえ取るのが大変だったのに、今では練習に家を出るときには、その時点で家には僕しかいないようになっていた。
一人の自由時間があんなに欲しかったのに、淋しく感じてしまう。
まあ、考えようによっては子供たちもカミさんも自立をしていったわけで、これは喜ばねばならないことかもしれん。
◇新更衣室は地下駐車場
9:00過ぎに河辺に到着。
河辺小学校でいつもどおりゼッケンを受け取って、向かう先は…そう、今回から新しい更衣室として登場した青梅市立総合病院の地下駐車場。
快適ぞろいの青梅マラソンで唯一問題であった更衣室の狭さ(体育館が狭い訳ではなく、なんせ人数が多すぎる)も解消できるのかを確認しなければならない。
さてさて、駐車場は、なんとガランとしていた。体育館にくらべると、外気が入ってくる駐車場の方が寒いのは、これ仕方ないが、人が少ないせいで余計に寒く感じる。
◇ブリーズライトは水平に
ゼッケンの袋を開けると、いつもセット。
ふむふむスポーツ報知の特別プログラム版、キャンディー3つ…あれっ?サロメチールがないぞ。
で、入ってたのは、なんとブリーズライト。
前回、欠場してしまったため、35回目がどうだったのか知らないのだが、ともかく今回はそういうことらしい。
で、使ったことのない僕は早速、貼ってみる。
「ほう、これで通気率31%アップかあ」と納得しながら擦ってみて、重大な失敗に気がつく。
なんと僕の立派な高い鼻のせいかテープが水平に貼られていないではないか!
これじゃあ25%くらいになってしまうか?などと考えながら、この斜めテープはやはり恥ずかしくなり、ビリビリと剥がしにかかる。
幸い2枚入っていたので、今度こそと鏡を探す。
で、見つけました。さすが、駐車場です。入り口近くにカーブミラーを発見。
無事、水平に鼻に装着完了。これで、ブリーズライト3級くらいには見られるだろう。
◇体育館はやっぱりね
駐車場の確認ができたので、体育館の方を視察に行くと、あらら、こっちは相も変わらず大混雑。
10kmの選手が既にこちらで着替えをしているからなのであろう。
やはり快適さではこちらが上だから、これは仕方ないことかもしれない。
しかし、着替える場所がないような体育館よりは、あっちの駐車場のほうが断然いい。
駐車場に戻ろうと、出入りでゴッタ返している人並みを掻き分けていると、ブリーズライトを斜めに貼り付けた選手とすれ違った。
やはりですね、斜めのブリーズライトは駄目!鼻腔拡張以前の問題としてかっこ悪すぎる。
来年からは手鏡を持参するのもいいかもしれません。
◇スタート
最後のトイレに行ってから、スタート位置に向かおうと思っていたら、みんながそう思っているのであろう。
トイレはどこも長い列ができている。思いのほか時間がかかり、結局、ゼッケンチェックを受けねばならない11:50ギリギリになってしまう。
どうも昨年の欠場が全体的にリズムを狂わせているようだ。
スタート5分前のアナウンスで、僕の腕時計が10秒ほど進んでいることが分かる。
5、4、3、2、1………スタート!今回の僕の仕上がりは完走ギリギリ。
スタートのロスはあとで大きく響いてくる。
道路の左端の走りづらいところを抜けて、前へ前へと進むが、停滞が多い。
◇ランナーの皆さん、走って下さい!
そのうち、「ランナーの皆さん、立ち止まらないで、走って下さい!」のアナウンス。
「おいおい、当たり前だろ?それってなんだよ」と独り言を言って気がつく。
そうか、長嶋効果だあ。そう、この36回大会のスターターはなんと「ミスター」であったのだ。
そして、ミスターのいるスタート地点通過は6分30秒後となった。
「ミスター」は、ジョギングのように両腕を前後に振って見せて、ランナーを応援してくれている。
観衆より、ランナーの方が興奮しているようだ、「うわあ〜」と歓声をあげながら、みんなが手を振っている。これじゃあ、遅くなるわけだ(笑)。
しかし、愛すべき「ミスター」よ、このギリギリランナーにとってこのロスタイムは厳しいぜ!
◇甚兵衛さん閉店?
このページの立ち上げの頃、そう1996年のことです。
僕は初参加する青梅マラソンの情報をインターネットで調べていた。
インターネットがやっと普及し始めた頃で、サーチエンジンもまだまだ貧弱で、青梅マラソンと入れても何ひとつとして出てこなかった時代でもありました。
(ちなみにYahooで「青梅マラソン」で初めて登録されたのは僕のこのページです)
しょうがないなと諦めかけた頃に、僕の契約プロバイダのcyborgのリンクの中で青梅マラソンを見つけたのでした。
それが、東青梅で「甚兵衛」というお弁当屋さんをやっているKさんが運営しているホームページでした。
(リンク集から行けますので1度ご訪問下さい/1998年ごろから手は入れてないようですが)
その「甚兵衛」さんの前を通過するとき店内を見ると閉店した様子。お弁当屋さんやめちゃったのかな?(現在、メールにて問い合わせ中)
◇略奪された3人の花嫁
日向和田のセントフローリア教会の前では、いつもウェディングドレスを着たお嬢さんが応援をしてくれている。(過去の記録をご参照下さい)
がっ!ス・少ないんです。何がって花嫁の数が(笑)。
そう僕の記憶では、最盛期で7人はいたように思えるのですが、今年は3人しかいなかった。
どうしたのかなあ?本当にお嫁に行っちゃったのかなあ?
しかし、今回僕はこの頃から随分とあせって走っていたように思えます。
何故って?それは花嫁さんと握手しなかったんです。もう一所懸命走ってた。3分のロスを回復しないとやばいぞって…
◇おふくろさんよ〜、お復路さん♪
実は、今回の青梅マラソン、母が「1度青梅マラソンを見たかったし、今年は1人だから応援がてら見に行こうと思う」と言っていた。
父が他界したため(35回介走録参照)ウイドーとなった母は元気にあちこち遊びにでているようだ。
ところが、前日の夜に電話があり、「昨晩から牡蠣にあたって、もう下痢がひどくて…行けないと思う」と…。そりゃあ明日はやめたほうがいいと止めた。そのおふくろさんに観戦ポイントとして、薦めたのが御岳駅前。
何故かって?ここなら、寒くなっても温かい飲み物もトイレもあるし、何より、往路と復路の選手たちを延々と見ることができる。
いつか、見るというか応援する立場が来たら、ここへ来るつもりだ。
◇立小便すんなよお!
山道に入ると、途端に立小便する輩が増える。
気持ちはわかるが、実際女性でしている人は見たことないし(ちょろちょろ流れる御茶ノ水、粋な姉ちゃん立小便!って、いねえよそんな奴!)、もうちょっと、我慢するかして臨時の仮設トイレも用意されるようになってるんだから、そこでしようよと僕は言いたい。
いや、ホント気持ちはわかるんです。
僕も昔、我慢しながら走ったし。おまけに、スタート直前はトイレ混みまくってるしね。
でもね、踏んずけられて潰れたカップやスポンジ、投げ捨てられたアメの袋とかね、もう兎に角たくさん、青梅の皆さんやボランティアさんにお世話になって、走らせてもらってるじゃないですか。
我慢しようよ〜。(なお、この為、スタート2時間前からコーヒーとかは飲んじゃあいけませんよ!)
◇折り返し
折り返しの大コーン(大根じゃあないよ)が白色でした。
なんか、コーンって言ったらオレンジのイメージで、あれっ前はどうだったっけ?って気になりながらの折り返し。
ロスタイムを気にしながらの走りで13:36くらいでしたでしょうか?足の方は大丈夫そうでしたが、なんか心なしかいつもより重く感じる。
いつものお煎餅をくれるおばちゃんの所で、塩せんべいをもらって元気をつけるのだがこの辺りから右膝にときどきピシッと痛みが走るようになる。
これは、昨年の富士登山の下りで雨にあたって冷やしていらいの持病のようになってしまった。
救護所に立ち寄れば、サロメチールとか塗ってくれるのでしょうが、今回はとにかく制限時間が心配で、立ち止まるのが怖い。
◇薄れ行く意識
澤の井の小澤酒造を通り過ぎると、沿道の方々が腕時計を見ながら、(20km関門まで)「あと15分だぞう」とか言ってます。
僕も、「そうか、これでいつものオフィスからの帰宅コース分なんだなあ」と頭に浮かべながら、「やっぱり練習よりは本番はちゃんと走れるもんだ」と少し自信を取り戻したりしながら走ってました。しかし、余裕がないってのは、楽しみが減りますね。
「頑張ってえ」って沿道で応援してくれる子供にいつもなら「ありがとうねえ」って応えてあげれるんだけど、それができない自分がいるんですね。とぼとぼと走ってる自分がね。
そして、「完走できないかもしれない…」という弱気な心が頭をもたげ始めた。もう、ここからは、景色とか雰囲気とかを記憶してることが少なくなってくのです。
◇あと3分
和田乃神社の最後の急坂をとぼとぼと登ってると、「頑張れ、もう時間ないぞお!」と沿道の方々が叫んでる。
考えてみれば、今まさに訪れようとしている関門閉鎖は、ここで応援している方にとっては、最後の見所とも言えるわけで、1秒間の差でドラマチックな人間模様が描き出されるわけなのです。
今までここまで関門に悩まされたことはないわけで、これは貴重な経験をしているなあという意識が残ってました。
腕時計を見ると確かにあと3分ほどしかない。とりあえず、ここは通過できそうだなと、ちょっと安心しながら関門の板を踏む。(ピッ!)
膝の方の痛みはときどきあるものの走れないことはない。市役所前の最終関門まであと4km、最終関門さえ突破すれば、時間的に完走は可能なので、実質的なフィニッシュである市役所前を目指してひたすら足を動かす。
◇頑張ってんだよう
青梅市街に近づくにつれて、「頑張って走って!」の声が多くなる。
応援の人にしてみれば、「ここまで来て何故、あと少し頑張れないの?」の思いも多いのでしょう。
そう、走ってる本人達もよーく分かってるんだけどね(笑)、なんせスタミナがつきちゃってるんでしょうね。
僕の前を行く2人の若者達、応援が入るとその場を立ち去るようにダッシュするのだけど、暫くするとまた歩き出す(笑)。
そんな様子を後ろからみながら、トボトボと追い越すと、「頑張ってんだよなあ」と2人で相槌打ってる。
そうだよ、そうだよと僕も思いながら兎に角前進。
気がつけば、勝沼の交差点、農林高校の生徒達がまだ太鼓で応援してくれている。
市役所が見えてきた。腕時計を見なくても沿道の応援の方々が刻々と時間を教えてくれるので、助かる。
よくもまあこの足ももったもんだ。市役所前の通過時はもう秒読み段階だったけど、無事通過。
これでひと安心。
◇回収バスの伴走者
デニーズ前を通過して、体育館前までの直線道路には完走ランナー予備軍がふわふわと漂っている。
後ろを振り返ると100mくらい後方に回収バスが後をついてきているではないか!この期におよんでまだ回収しよっての?とちょっと驚きながらも、ひたすらふわふわと前進してると歩いてしまっているランナーが多いことにも気がつく。
あと1kmとはいえ、流石に歩いてはゴールも難しい。
あと200mくらいのところまで来て、沿道の方々が僕の後ろに注目してるのに気が付き、ふと振り返るとなんとそこにはピッタリと後ろに2人の若者、更にその背後にピッタリと回収バスが走ってるではないか!
「うわあ」と驚くとそれを見た沿道の人も笑ってる。
今回は最終ダッシュなんざするつもりなかったのですが、このままじゃ、栄光の最終ランナーになっちまうと最後の力を振り絞ってバビューーンとダッシュ!
1人、2人と最後に6〜7人抜いて、フィニッシュ!貴重なる経験の旅でした。
一般30キロ 男子の部
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